フィナーレに向けて

よく
核兵器は
非人道的だと言われるが
では
人道的な兵器とは
どんなものだろう。

戦いや
争いが
刀や槍だった時代には
自分の
振り下ろした刀が
肉を裂き
骨を砕く
リアルな感覚があったろう。

断末魔の絶叫を聞き
命乞いの手を
振り払ったこともあったろう。
飛び散る脳髄や
生暖かい
血しぶきも浴びただろう。

しかし
鉄砲という
武器が出現すると
指先一つで
人を
簡単に
殺せるようになった。

それ以来
人を殺す
生々しさは
それまでより
ずっと軽くなり
遠ざかった。

その感覚は
大砲になり
ミサイルになり
ますます希薄になった。

そして今
ドローンになり
AI兵器になろうとしている。

血も見ず
悶え苦しむ顔も見ず
哀れみを感じることもなく
モニターの中での戦争は
人間を殺している
実感など皆無だろう。

徹底的に
傷つけあって
疲れ果てるまで
殺し合わなければ
「暴力」が
最善ではなく
最悪の手段だと
愚かな人間は
気づかない。

気づいても
すぐ忘れてしまう。

人類が
終末兵器を
手に入れてから
100年弱。
かろうじて
平和が保たれたことは
奇跡だった。
そろそろ
その夢から覚めて
終末兵器の出番だろう。

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