1000キロの旅 ー長万部のカニ飯 ー

ー 長万部 ー

二股らぢうむ温泉を後にして

長万部の町へ向かう。

長万部と書いて

「おしゃまんべ」と読む。

まさに

アイヌ語そのもの。

目的は

名物・カニ飯だ。

ー 名物 ー

長万部のカニ飯は

毛蟹の身をほぐして

薄味を付けたものを

蟹の炊き込みご飯の上に

びっしり散らしたもので

名物駅弁として有名だ。

全国各地で開かれる

北海道物産展では

人気の的らしい。

「カニ飯」という響きが

北海道そのものなんだろう。

ー 初めての出会い ー

もう15年前になるが

JRで

函館に向かう時

札幌を出るとまもなく

カニ飯の

予約を受け付けるという

車内アナウンスが流れ

面白いと思って

頼んでみた。

長万部の駅に到着すると

席まで届けてくれる。

ほんわか温かい。

ものすごくうまいか?

と聞かれれば

そこまでではないものの

とても素朴で

ビジュアルも味も

なかなかの好印象。

その時のことが

忘れられず

今回は

必ず立ち寄りたい

と思っていた。

ー 味気ないカニ飯 ー

かにめし本舗なかやは

長万部駅前通りに面した

シャッター街の中にある。

時間は

13時を過ぎていたが

昼飯時だからなのか

平日にも関わらず

結構車がいる。

店に入ると

店とは言えぬほど

狭いスペースで

金を払って

カニ飯弁当を

受け取るだけ。。

シンプルというか

味気ないほどだ。

まぁ

商品は

カニ飯のみなのだから

それでいいとも思うが

駅の売店並みくらいの

演出があってもいいのでは?

と思ったりした。

ー 自由席 ー

車中で食べようと

袋を持って

外に出てみると

店舗の横に

昔の喫茶店のような

古ぼけた木のドアがあり

「自由席」

と書かれた

札が下がっていた。

ドアを開けると

懐かしい

特急電車の座席が

左に二席、右に三席

五列ほど並んでいた。

正面の壁には

大きな液晶テレビがあり

煙を吐き豪快に走る

SLの勇姿が

映し出されている。

函館からの線路が

小樽側と室蘭側に

分岐する要衝として

栄えた長万部駅の

様子のシーンもあり

とてもいい演出だ。

店の

愛想のなさを

補うかのような

思いもしなかった

演出にちょっと感激。

膝の上に乗せた

カニ飯弁当の包みを

開けると

曲げわっぱの

昔ながらの箱に

ぎっしりと敷き詰められた

カニ飯が現れる。

曲げわっぱの木の香りと

カニ飯の素朴な味に

舌鼓を打ちながら

函館本線の車中で食べた

あの頃のことを

懐かしく思い出し

添えられた

缶詰のミカンが

いつになく甘酸っぱく感じた。

カメラ:iPhone15

追伸

今回の写真は

すべて

iPhoneで撮影したものだが

大画面で見て

その先鋭感、明瞭度に

驚いた。

これなら

下手なサブカメラを

買うより

いいかもしれない

とさえ思う。

恐るべしiPhone。

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